壺竹林
壺竹林の中は昏(くら)い
壺竹林の底にしゃがみこむと
はるか上のほうで雲雀の声がする
壺の底は冷ややかな土
その沈黙に掌(たなごころ)を押しあてる
壺竹林の中に行き
そのひんやりとした沈黙をうつした掌を胸に押しあて
鼓動をひとつひとつ数えた
ざわめいていたシナプスの梢は鎮まり
茂りあう青葉を透かして
想いはゆっくり視野をはずれ
明るい青が残った
ぼくは ひとすじの水のように その青を飲んだ
水は身体の繊維を洗い
どこかに吸い込まれて 消えた
ぼくは安らかに眠った 三日間 夢は見なかった
四日目に人の声がきこえ
外に出ると 雲ひとつない青
花がにぎやかに香り立っていた
ほくはときどき壺竹林の昏がりの中に行く
そのひんやりとした土や
時間を吸い取ってしまう沈黙
そして遥か上のほうでは
いつも雲雀の声がするのだ
※壺竹林(つぼたけばやし)・・ぼくの造語。竹が取り囲むように繁った、そのまん中に畳三枚ほどの小さな空間がある。入り口に鳥居の一部が写っているように、じつは小さな稲荷神社がある。

